コマ打ち

梅が咲く、小雨降る椎葉村の小崎地区。
100年前に、民俗学者の柳田國男が資料収集のために椎葉村に1週間滞在したという。村内を案内した当時の村長・中瀬淳氏の自宅前に立つ石碑にも雨がかかっている。
その石碑の真向かいにある中瀬裕さんのお家の道端で、コマ打ちをさせていただいた。

椎茸をたやすく連想できるネーミングの椎葉村で、まさに椎茸栽培の一端を体験できるとはとてもテンションがあがる。
もちろん初体験だ。

裕さんが既に山から切り出して積んである原木を1mほどの長さに裁断してくださり、そこにドリルで椎茸菌の三角コーンを入れる穴を開けていく。
等間隔で1列分6つくらい開けたら、5㎝くらいずらした位置に2列目として、また等間隔に穴を5~7つくらい開ける。
この作業を、丸太の太さに応じて4~5列作ったら、脇によけて穴に椎茸菌コーンを投入する。とがっている方から穴に入れて、コーンのお尻についている白い発泡スチロールを軽く指で押して蓋をする。

一緒にコマ打ちを手伝っていた、村の4歳児と競争のように穴にコーンを入れる。
コーンをシートから出して渡してあげさえすれば、4歳児といえども、ちゃきちゃき作業する。
むしろ、穴にものを入れてちょいっと押すのは、子どもの方がうまい気がする。

〈手順〉
0.原木を山から切り出してくる。
1.積んである原木を1mくらいにチェーンソーで裁断する。
2.1m幅の原木に、互い違いに4~5列分、1列あたり6つくらいの穴をドリルで開ける。
3.穴の開いた原木を脇によける。
4.穴に菌のコーンを投入。2列分ほど並列に入れたら、原木を回して動かし、開いている他の穴にコーンを投入。この繰り返し。

私たちがやらせてもらったのは、手順2~4のところ。
裕さんがお手本を見せてくれて、大人4人と4歳児ができる作業をそれぞれ同時進行でやっていく。

ドリルで穴を開けるのは、簡単そうで、等間隔に丁寧に早くやろうと思うと意外と奥が深い。
さして重くない電動ドリルを扱うのはそれほど難しくないが、中腰でウィ~ンウィ~ンと穴を開けていると結構、腰が疲れる。
穴が開いた原木を持ち上げて脇によけるのも、そこそこ腰にくる。
菌コーンの植えつけも、しゃがむか中腰で作業するので、じわじわ腰にくる。
30分くらいずつ小休止を取らないと、きついだろうなと思う。

雨も強くなってきたので、ちょうど作業開始から30分ほどで切り上げた。
素人の大人4人と4歳児1人で、穴をあけた原木は15本、菌シートは2枚弱くらいを入れ込むことができた。
字義どおりの「体験」作業だったので、ある程度の達成感と働いた感があるが、これを生業としている人たちは原木何百本、菌コーン投入も何千と行うのだと思うと本当に頭が下がる。

さらに、今は電動の穴あけドリルやシートに入った菌コーンが活用できるが、一昔前までは、一つ一つ手作業で穴あけも菌の植えつけもやっていたという。
農家・お百姓は本当に偉大だなぁ~と考えないわけにはいかない。

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